光るパイプ

2017年05月17日 19:20

老夫婦がご相談にいらっしゃいました。
最初に住所氏名を簡単に記入していただくのですが、ご自身のお名前を間違えてしまった奥様。あらま、スミマセンと慌てている横で、仏頂面のご主人が「バカ!なんで自分の名前間違えるんだっ!」と憤慨しつつ、奥様に代わって記入されました。奥様は「いつも怒られちゃうのワタシ。フフフフッ」ととっても嬉しそう(笑)

人前で貶されてるのに、どうしてそんなにウフフなの?と注意を向けると、伝わってきたのはご主人の大きな「愛」でした。お年を召されているのに、震える事無くしっかりと誠実な文字でお名前を記入されているのを眺めている間にも、大きくて強い「愛」がビシバシと伝わってきて、ワタシのハートは釘付けに(笑)。

ご相談に聞き耳をたてていると案の定、ご相談は夫婦間の生前贈与。『俺もいつまでも長くねぇから』と終活中で、不動産を奥様に贈与なさりたいとのこと。
(相続という登記が、残された家族によって分割協議されるものに対して、生前贈与はあげる側の強く明確な意志がある登記だと思ってます。)

おばあちゃんはあっけらかんと言います。
『お父ちゃんが死んだら、アタシどうすればいいんだろうって言ったの、フフフフフ』
それを受けて、おじいちゃんはぶっきらぼうに言います
『きちっとやってあげっから!』

萌え死ぬーーー!!!!


おばあちゃんはちょっと天然なんだけど、それをバカバカ言いつつも受け止めてくれるおじいちゃんをとっても頼りにしてる。頼りにされたおじいちゃんは、ずっと、ずっとずっと、ずっとずーーーーっと何十年もおばあちゃんを愛して守ってきたんだね。そして、運命がふたりを分かつとき、天然の妻が少しでも困らないように、痛む膝を押して相談に来たのです。

一生懸命働いて月賦で建てた家もさ、いざとなったら解体屋に壊してもらう手筈なんだ。

飄々と言うおじいちゃん。もう自分の人生に悔いはないみたい。さりげないけど、これってすごい悟りの境地だよね。それでも、たった一つの気がかりはおばあちゃんのこと。コイツは俺がいねぇとダメなやつなんだ、だから俺の命があるうちにすべてやっておきてぇんだよ。そんな想い。

もうね、ぶっきらぼうな言葉が愛に乗って響いてくる。大きな眼差しでどこまでも守る夫と、守られる可愛い妻。お手本のような姿を見せていただいて、ワタシは内心大興奮です。だって、そんなお手本がこの世知辛い3次元にあるとは思ってなかったから。

どこにでもいるような田舎のおじいちゃんとおばあちゃんだけど、ふたりの間には、おいそれと築き上げることは到底できない光るパイプのようなものがありました。すごいなぁ、ホントにあるんだなぁ・・・3次元でも夫婦愛を体現できるものなんだなぁ・・・と、現実にありえないもの・・・夢を見せられてるようで、感動していました。

それは、愛を体現して生きていくと決めたワタシへの応援なのかもしれないね。そういう意味では、私にとっては忘れられないご夫婦になりました。




お帰りになった後、みんなの反応は様々で夫婦愛を感じた人はいなかったというのが面白い。「人は鏡」 自分の中にあるものに反応する、とすると、みんなの中に何があるのかちょっと見えちゃう。

『ご主人の怒り方が行きすぎてる、ヒドイと思った』
 この感想を持ったのは、横暴な夫を持つ女性。奥様に自分を投影してしまったのかな

『奥様の声が大きすぎると思った』
 この感想を持ったのはアイドル好きの男性。女性はこうあるべき、みたいな夢がある?w

などなど。
ワタシが反応したのは・・・
「自分がこの世を去っても守り愛しぬく」という強い想いです。おじいちゃんが残してくれたものでおばあちゃんは守られていく。想いは肉体のあるなしに関係なく続いていくんだということを見せてくれたのかもしれないな。


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